MRの転職ノウハウ

MRが転職で目指すべき方向性は「移籍」か?「転職」か?

「MRが転職で目指すべき方向性は、移籍か? 転職か?」

これは非常に難しい問題です。

なぜなら正解がないからです。

しかしながら、いずれの選択にしろ、

「自分が何をしたいのか」

によるのではないでしょうか。

MRの移籍と転職の具体例

例えば移籍なら以下のような道が考えられます。

「がん領域・オーファンなどの新たな領域で仕事をする」

この道の場合、今までの仕事の延長線上でもありますし、給与面でも比較的安心できるでしょう。

一方、これらの道はかなり高いハードルになっているのも現状です。

そして転職なら、盛り上がりを見せるテクノロジー分野に挑むのもいいでしょう。

例えば、MRの経験を活かすなら、MedTech(メドテック:Medical×Technologyの造語)と言われる「医療IT」にチャレンジするのも一つの道です。

スマートデバイスを使った遠隔診療やAIによる画像診断など、現在の医療業界における課題を解決する技術が開発されています。

あるいは、刺激的な仕事を求めて、バリバリのスタートアップにストックオプション付きで入るという道もあるでしょう。

一方、特にMRの場合、転職は給与が下がることが多いです。そのため、なかなか踏ん切りがつかないかもしれません。

当然、給与が下がるともなれば、嫁ブロックも発生するでしょうね。

なぜMRは転職しようとすると、嫁ブロックを受けるのか(僕は例外)MRの転職には「嫁ブロック」が付き物。 ではなぜ嫁ブロックが発動するのか? それは、 奥さんが働いていないからです。...

とはいえ、移籍はおすすめできない

では、やはりMRは移籍の道を選んだ方が良いのでしょうか。

しかし、私はこれにNOと言いたいです。

この理由を述べる上では、2019年8月に惜しくも亡くなられたエンジェル投資家 瀧本哲史氏の言葉を引用したいと思います。

以下の引用記事は、瀧本哲史氏の著書『僕は君たちに武器を配りたい』について語られたものです。
MRとしての今後に悩んでいるのであれば、必読の書です。

『僕は君たちに武器を配りたい』は大学生くらいを対象に執筆しましたが、そんな彼らに「君たちはこれからどう生きるのか」を考えてほしいと思って書きました。

(中略)

この本には、弁護士などのプロフェッショナル人材も「コモディティ化からは逃れられない」という話を書いたのですが、みんなピンとこないのかなと思っていたところ、実際に本書を読んだ弁護士の多くが、「まさにその通りだ」と同意されました。

(中略)

本の中で「最も衝撃的」と言われた箇所があるのですが、世間でハイスペックと思われている学歴や資格、TOEICの点数を持っていたとしても、コモディティ化するということでした。つまり、同じようなスペックの人が沢山いれば、それはスペシャリティ(余人をもって代えがたい存在であること)とはいえないわけです。

例えば、日本の自動車部品の品質は非常に高いですが、複数の供給者がいて結局買いたたかれてしまいます。人材もまた同じで、大規模弁護士事務所はエリート集団ですが、顧客やパートナーからして、「お前の代わりはいくらでもいる」となってしまえば、単価が下がるか、長い労働時間でカバーするかになってしまうわけです。

さらに厳しいことに、あらゆる業界、あらゆる商品、あらゆる働き方におけるスペシャリティの地位は決して永続的なものではありません。ある時期にスペシャリティであったとしても、同じ軸で競争をしている限り、時間の経過にともない、その価値は必ず低下し、コモディティへと転落していきます。

逆に言うと、このコモディティ化の圧力がイノベーションの必要性を生み、資本主義のダイナミズムとなっているわけでもあります。

その流れが、この8年で誰にでも分かるぐらい顕著になりましたし、今後もそうであり続けるでしょう。

出典:【瀧本哲史】「努力が報われること」は絶対にやってはいけない|NewsPicks

さて、ここで今一度考えて欲しいのが、

「あなたの仕事は、コモディティ化していませんか?」

ということです。

MRという仕事は、従来、他業界から見れば特殊なものでした。

医療業界が独特の業界であるのもそうですし、その中で医者を相手にする仕事はそこまで多くなかったからです。

しかし、この瀧本氏の言葉を借りれば、

同じ軸で競争をしている限り、時間の経過にともない、その価値は必ず低下し、コモディティへと転落していきます

つまり、閉ざされた市場であればあるほど、その市場全体のコモディティ化が進めば、一気に価値が失われる可能性が高いのです。

この「MRという職業のコモディティ化」については、次回の記事で詳しく解説します。